アルト・ドウロ・ワイン生産地域

ポルトガル北部のドウロ川上流には「アルト・ドウロ・ワイン生産地域」があり、2000年前から続く伝統の手作業でワインが醸造されています。ドウロ川沿いは急斜面の丘になっており、段々畑のある景観が有名です。ポルトガルの宝石と呼ばれる「ポートワイン」の約50%はこの地域で造られており、上質な甘みをもつ酒精強化ワインです。酒精強化ワインとは、葡萄を醸造する工程中にアルコールを添加して、ワイン全体のアルコール度数を高めたワインのことです。アルコールを加える際に糖分がアルコール分解が止まるので、甘味のあるワインとなります。アルコール分が高いので、長期保存に適しており、好みに合わせて甘さの度合いが5段階あります。
16世紀のイギリスでポートワインに対する高い需要が生まれたことから、葡萄畑とワイン産業が拡張されていきました。偽物のポートワインなども出回ったことから、決まった土地で規定の製法で作られたワインのみをポートワインと名乗ることができるようにする規定「現地呼称制度」がポルトガルでも始まりました。19世紀にヨーロッパで流行した害虫フィロキセラ（ブドウネアブラムシ）の被害は例外なくアルト・ドウロ地区にも訪れましたが、アメリカから輸入したブドウの木を接ぎ木することで、再度ポートワインの生産が再開されることとなりました。ポルトガルのワインの歴史を知る上で欠かせない遺産です。